こんにちは!てくいのタチキです。IT分野に携わっている人も、そうでない人も、今ではもう「人工知能(AI)」や「ディープラーニング」という言葉は身近なものになっていると思います。そんな人工知能やディープラーニングには、多種多様な資格が存在しています。その中でも、有名なG検定についておはなししようと思います。
目次
G検定とは
G(ジェネラリスト)検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(英称:Japan Deep Learning Association、以下略称JDLAを使用)が実施しているディープラーニングに関する資格試験です。JDLAでは、試験の概要を以下のように説明しています。
ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。
この資格は、JDLAが設立された2017年に第1回目が開催され、その後、年に2〜3回の頻度で行われています。受験資格はなく、ジェネラリストというだけあってAI・ディープラーニングに関する業務をしている人、またはこれから携わりたいと考えている全ての人に向けた資格です。
試験は、220問程度の選択形式で出題され、オンラインで実施されます。試験時間は120分です。問題数と試験時間から考えると、1問あたり30秒程度で回答する必要があり、かなり難しい試験だと思われるかもしれませんが、合格率は60〜70%程度と、比較的合格しやすい試験だといえます。
受験費用は、一般の方が12,000円、学生が5,000円です(いずれも税抜き)。
※この情報は、2020年10月時点のものですので、詳細はJDLA公式サイトのG検定概要をご参照ください。
G検定はこんな人にオススメ
G検定は、以下のような人におすすめの資格です。
- 人工知能、ディープラーニングについて体系的に学びたい人
- AIを活用したプロジェクトに参画している、またはしたい人
- 営業やマーケティングに携わる人
G検定の出題範囲
出題範囲は、公式サイトのシラバスからとなっています。
●人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
●人工知能をめぐる動向
探索・推論、知識表現、機械学習、深層学習
●人工知能分野の問題
トイプロブレム、フレーム問題、弱いAI、強いAI、身体性、シンボルグラウンディング問題、特徴量設計、チューリングテスト、シンギュラリティ
●機械学習の具体的手法
代表的な手法、データの扱い、応用
●ディープラーニングの概要
ニューラルネットワークとディープラーニング、既存のニューラルネットワークにおける問題、ディープラーニングのアプローチ、CPU と GPU、ディープラーニングにおけるデータ量
●ディープラーニングの手法
活性化関数、学習率の最適化、更なるテクニック、CNN、RNN、深層強化学習、深層生成モデル
●ディープラーニングの研究分野
画像認識、自然言語処理、音声処理、ロボティクス (強化学習)、マルチモーダル
●ディープラーニングの応用に向けて
産業への応用、法律、倫理、現行の議論
ディープラーニングの歴史や基礎知識から法律、最新の研究動向、産業への利用例など幅広く問われることが分かりますね。
G検定の勉強法
僕は、2020年第1回G検定(3/14)の試験に合格しましたが、そのときの勉強期間や、勉強方法をご紹介したいと思います。
まず、勉強期間ですが、僕が試験に向けて準備を開始したのは、本番の約2週間前でした。
勉強には、主に、G検定公式テキストを使用しました。このテキストは、ディープラーニングについて初めて勉強する人や、エンジニアではない人にも理解しやすい内容になっていて、ページ数も多くないので、1週間もあればまず問題なく読み切れると思います。僕の場合は、知識を定着させるために、このテキストを2回ほど読みました。
次に、Study-AIというサイトで現在無料公開されている、G検定模擬テストを受験しました。実際の試験に出た問題とほぼ同じものも複数あり、出題形式も似ていたので、大変助かりました!!
あとはひたすら、AI白書やWebから、AIに関する最新の情報や、公式テキストでは記述が少ない法律関係の知識をインプットしました。
僕の場合は、日頃から業務として機械学習についての勉強や研究に携わっているため、勉強開始時にある程度の知識がありましたが、ここでご紹介したのは、非常にシンプルで、初めて学習されるという方にもおすすめの勉強法ではないかと思います。
- 公式テキストを読破する(複数回)
- G検定模試(複数回)
- AI白書やWebで最新情報をキャッチ
実際の試験内容
僕が受験したG検定2020#1は知識問題やディープラーニング、CNNや、法律問題など多岐に渡った分野の問題が出題されました。G検定のテキストに載っていなさそうな問題では、「三平方の定理」や「偏微分」の簡単な計算などが出題されました。計算問題も出題されましたが、CNNのフィルターの計算を含め3問程度だったと記憶しています。
「強いAIとはなにか?」のように直接的にAIに関わる問題から、「AIのコンペティション、Kaggleとはなにか?」、「1400万枚もの画像データを扱えるデータセット、ImageNetとはなにか?」のようなAIに関連するサービスについての問題、「ドローンの飛行距離制限は何m?」や、「著作権問題」などの法律問題も出題されます。
AIについての知識、AIに関連するサービス、AIに関係する法律とかなり幅広く勉強しないといけません。G検定公式テキストのみを勉強し、合格できるかというと微妙なところだと思います。公式テキスト以外にも自分でAIについて調べたり、AI白書の最新版を読んだりして万全な準備をして試験に望むことをおすすめします。
また、G検定の例題はJDLAの公式サイトにも載っていますので、そちらでも出題方法や傾向がつかめると思います。
試験の所感
実際の試験はどんな感じだったのか。G検定公式テキストをかなり読み込んで臨んだため、画像認識で使用されるCNNや、時系列処理で使用されるRNNなど、直接AIに関する問題ならどんな問題が来ても「ほぼ全部解けるだろう(選択問題だし)」という感覚でした。ただ、AIに関しての法律や政策などは覚えるのが難しく、その辺りで結構な点を落とすだろうと思っていました。案の定、かなり得点を落としたように思います。勉強不足だったのかもしれませんが、法律やAI周りの知識がかなり多く出題されたと感じたので、もっと勉強しておけばよかったと少しだけ後悔です。
計算問題も出てくるとは思っていなかったので、紙とペンを用意していませんでした。これからG検定を受ける人は、紙とペンを用意しておくことをお忘れなく!!
また、問題数は多いですが、僕の場合は、試験時間は30分ほど余りました。他の人の声を聞いても時間が余ったと言っていたので、200問以上あるということに身構えすぎずに落ち着いて解いていけば、時間的には問題ないと思います。G検定は1問あたり30秒程度で解かないといけないため、焦ってしまうと避けな時間をロスしてしまいます。くれぐれも落ち着いて、わからない問題は潔く諦める。これに限ります。
また、JDLAでは検定を数年おきに更新(再受験)することを推奨しています。これはAI分野は現在、非常に技術の進歩が早く、2〜3年で大きく技術動向が変わってくるためです。僕も技術の進歩においていかれないよう、数年おきに受験しようと思っています。
終わりに
正直、G検定を合格することはそんなに難しく無いと思います。僕の所感では、IT分野とまったく関係のない仕事に就いている人でも1ヶ月程度勉強すれば、資格に手が届くのではないでしょうか。
G検定に合格すると、AIの情報を発信してくれるslackチャンネル(JDLA Community)に招待されるメールが届きます。毎日のように新しい情報が更新されるので情報を追い続けるのは大変ですが、興味深い内容がたくさん発信されているのでG検定を受け、合格してその情報を取得する機会をゲットしてみてください!
学習時、参考にした書籍
ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)公式テキスト(浅川伸一,江間有沙,工藤郁子,巣籠悠輔,瀬谷啓介,松井孝之,松尾豊 、 株式会社翔泳社 、 2019年6月25日)
AI白書 2020(独立法人情報処理推進機構 AI白書編集委員会 、 株式会社角川アスキー総合研究所 、 2020年3月2日)
スッキリわかるディープラーニングG検定(ジェネラリスト)テキスト&問題集(株式会社クロノス 、 TAC株式会社 、 2020年3月31日)
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